大腸菌でのタンパク質発現用ベクター
pET Expression Vector
製品の特長
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大腸菌でのT7プロモーターによるタンパク質発現に使用するベクターです。
製品の内容
pETベクターは強力なT7プロモーターによる発現ベクターです。高コピー、中程度コピー、LacIにより発現をコントロールできるベクターの3種類があり、それぞれ、薬剤耐性マーカーはアンピシリンとカナマイシンの2種類から選べます。さらに目的遺伝子の導入部位によりHis-Tag融合タンパク質、またはタグなしタンパク質をそれぞれ発現可能です。
pETシステムについて
T7発現システムはT7プロモーターを有するpET発現ベクターと,BL21(DE3)大腸菌株などのT7 RNAポリメラーゼ遺伝子が組み込まれたバクテリオファージλDE3の溶原菌を宿主として用いた,強力な発現システムです。 BL21(DE3)大腸菌ゲノム中のlac UV5プロモーター支配下にあるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子は,isopropyl-1-thio-β-D-galactopyranoside (IPTG)添加により発現誘導されます。発現したT7 RNAポリメラーゼは,pETベクターのT7プロモーターを認識し,T7プロモーター下流に導入された目的タンパク質配列を強力に発現させます。
ベクターの特徴
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6種類のベクターのマルチクローニングサイトは全て共通です。そのため、シリーズ間で他のベクターへのサブクローニングが容易に行えます。
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ベクターのサイズが小さいため、大きなサイズのインサートを挿入しても高効率の形質転換が期待できます。
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N末端にHisタグを融合したタンパク質を発現できます。また、クローニングサイト中のNdeI部位に目的遺伝子を挿入すると、タグなしのタンパク質を発現できます。
ベクターの選択について
発現する蛋白質の宿主大腸菌への影響が明らかでないとき、またベクターの選択に迷ったときは、pETBAをお試しください。
非誘導時に発現を抑えたいときは、pETIAの使用が考えられます。
発現する蛋白質が宿主大腸菌にあまり影響しないときは、pETUAを使用すると、プラスミドのコピー数が多いため、ミニプレップ、シークエンシング等、しやすいメリットがあります。
pETUK、pETBK、pETIKについてもそれぞれpETUA、pETBA、pETIAと同様な特長があります。アンピシリン耐性のクローニングベクターからのサブクローニングに有効です。
pETIAでの発現 (lacIでの制御)
M : DynaMarker Protein Eco (DM610)
1 : 培養開始3.5時間後A (IPTG誘導無)
2 : 培養開始3.5時間後B (IPTG誘導直前)
3 : 培養開始5.5時間後A (IPTG誘導無)
4 : 培養開始5.5時間後B (IPTG誘導後2時間)
5 : 培養開始7.5時間後A (IPTG誘導無)
6 : 培養開始7.5時間後B (IPTG誘導後4時間)
pETIAではlacIにより厳密な発現制御がなされるため、非誘導時の発現が極めて低レベルに抑えられる。
本ベクターとBL2(DE3)を用いた各種タンパク質発現例
M : DynaMarker Protein Eco (DM610)
1 : pETUKによる発現 (65 kDa)
2 : pETBAによる発現 (65 kDa)
3 : pETUAによる発現 (45 kDa)
4 : pETBAによる発現 (44 kDa)
5 : pETBKによる発現 (44 kDa)
6 : pETIKによる発現 (30 kDa)
使用文献
Katsu K., et al., BMC Plant Biol., 11;17(1):239. (2017). [pETUA]
Yuasa HJ., Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol., 263:110801 (2023). [pETIA]
Kubota H., et al., mSphere, 30;4(5):e00736-19 (2019). [pETBK]
Masuda Y., et al., Microbiol Spectr., 3;9(1):e0014121 (2021). [pETUK]
Sarper SE., et al., Zoological Lett., 6;7(1):12 (2021). [pETUK]
Wada K., et al., Fermentation, 6(3):70 (2020). [pETIK]
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